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先手を打つことの効用

人から借りていた、田端信太郎さんの『MEDIA MAKERS』を読み終えた。
「リニア」「ノンリニア」というメディアの切り分け軸が説明されていると聞き、興味を持ったので借りたのだけれど、その他にも面白い知見が散りばめられていた。
ちなみに「リニア」なメディアとは、頭から最後まで見てもらうことを想定した、映画のような連続的なもの。「ノンリニア」なメディアは、ブログの1記事やカタログのような断片的なものだそう。
他にも「フロー」と「ストック」、「参加性」と「権威性」など汎用性の高い軸が紹介されていた。

 

『MEDIA MAKERS』を読んで最も印象的だったのは、田端さんが何かを言い切った後に度々書き添えている捕捉だった。
「(ただし別の見方をすると〜かもしれないけれど〜)」といったような、反論を意識した上での説明や、「(その証拠として〜)」のように論拠となる事実が、あちこちで括弧内に書かれている。
また、仮定や推測を記述する場合は、「これも思考実験ですが〜」と言ったように事実ではないのだということを明記している。

 

持論を展開する際は、往々にして、自分の視点が固定されてしまったり、曖昧なことを事実であるかのように言い切ってしまったりすることがある。反論するために構えている人にとっては、そこが付け入る隙になることも多い。
しかし、田端さんは何かを言い切った後、多角的な視点で自分の言葉を眺め、その妥当性を高めている。
こうして先手を打つことにより、反論を事前に抑えられる可能性が高まる。

 
これらは、メディアが持つ影響力やメディアに対する受け手の反応を熟知しているからこそできる、物の書き方なのではないか。
田端さんが『MEDIA MAKERS』というメディアにおいて発信する際の繊細さ、緻密さを目の当たりにできただけでも、本書を読んだ価値があった。
 
「先手を打つ」と言えば、先輩からこんな話を聞いた。
人から細かい指摘を受けるような状況を回避したい場合は、相手への質問・確認事項を大量に用意しておく。
指摘が始まる前にこちらから畳みかければ、相手は回答することで精一杯になり、指摘をするための思考回路が止まるという。
 
意図しない事態、不要な争いを避けるために、先手を打つことは有効らしい。
MEDIA MAKERS―社会が動く「影響力」の正体 宣伝会議

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