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密度の濃い人生を送るということ

外食産業に興味があったので、 『外食・FC革命「人間味」で勝つ! 』を手にとってみた。
2002年の本なので割りと古い。
現代の外食産業を知るというよりは、外食産業の歴史を学ぶのに役立つかな。

 

本の前半部では、著者である小林敬さんの経歴が紹介されていた。
調理師学校を卒業してフランス料理店に勤務するも、皿洗いばかりの毎日に嫌気がさし、1年経たずに地元に戻って開業。
その後、フランスで修行することを考えながらも、尊敬できる経営者に出会い、システム開発の道に進むなど、即断即決、パワフルな生き方をされている。
自分という資本に自信を持たれているんだな、と羨ましい気持ち。

 

独立後に大阪で開いた「食べて得する料理家 庵」が成功してからは、庵のチェーン展開を進めていく。
大阪で開業するにあたり、大阪人の文化を知ろうと図書館にこもって郷土資料を読み尽くしたというのだから徹底している。
勉強家が、勉強をしていない人々に敗れる可能性は、その逆よりも低いはずだと私も常々思っている。というよりも、そうであってほしいという願いか。

 

庵、という店の名前は聞いたことがなかったので、食べログで検索してみた。
似たような名前が多すぎて見つけられない。
今度は、著者の名前でgoogle検索をしてみると、Wikipediaページがヒットした。
有名人なのね。マネーの虎にも出ていたそう。
この本を出した3年後に、取締役に就任した会社が経営破綻しているらしい。その後、小林事務所も経営悪化。
本に書かれているかぎりでは順風満帆といった感じだったのだけれど、本当に何が起こるかわからないものですね。
この事実を知ったのが本を読んでいる途中だったので、それからはどんな提言が書かれていても「でも経営悪化してるのよね……」としか思えなくなってしまったのが残念。

 

それでも、2010年には関西に「QUATTRO CINQUE」を出店していたりと、転んでも起き上がる姿勢に感銘を受けてしまった。
「QUATTRO CINQUE」は食べログで発見。それほど点数は高くないけれど、レビューコメントはあたたかくて私までなぜか嬉しくなったり。

 

私はこれまで大きな挫折のない人生を送ってきた人間だけれど、それは裏返せばリスクを取ってこなかったということ。
自分なりに作りこんだ平和な箱庭の中で過ごすのはとても居心地がいいけれど、不幸がない反面、大きな幸せを実感しづらいかもしれない。
どこかで、間延びした毎日だな、という気持ちがあったりね。
リスクをとり、スピード感を持って日々を過ごす著者の人生は、私よりずっと密度が濃いのだろうなと。箱庭のベンチに座ってぼんやり考えるのです。

外食・FC革命「人間味」で勝つ! (編集会議BOOKS)

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