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美しい性欲

明治大学のテニスサークルがコマ劇場前で泥酔していたという報道はまだ記憶に新しい。
女の子を酔わせて連れ帰っていたという噂が事実だとしたら、なんてあさましい性欲だろうと思う。

 
高校の頃、国語の教科書に山田詠美の『ひよこの眼』が載っていた。
あれは、初心な高校生にとっては毒のようなものだと思う。
小学生の頃からミステリ小説を読み漁っていた私は、赤川次郎の書く色気のないベッドシーンには慣れっこだったけれど、山田詠美の文章の端々から匂い立つ性的なものの美しさには衝撃を受けたのだった。
そして、こんな文章が国語の教科書に載っているということも信じられなかった。
 
それが山田詠美との出会いで、以降、貪るように著作を読んだ。
A2Zや4Uを読み終えて思ったことは、この人の書く性は、感情(特に、切ないような気持ち)と密接に結びついているということだった。
だからこそ、触れ合いの一つひとつが心に迫る。
また、身体のパーツに対する描写も非常に多い。
登場人物は皆、自分の相手をじっくりと眺める。男らしい腕とか、滑らかな肌とか、悲しそうな目とか、色々。
 
そうやって感情を契機にして相手と向き合うから、山田詠美の書く性欲というのは美しい。
 
あさましい性欲は消耗品のような時間を生んで、大して記憶にも残らない。
いや、それでも別に良いと言うのかもしれないけれど。
この世に美しい性欲とあさましい性欲があるのなら、私は美しい方だけをつまんで味わっていたい。もし、自分で選べる環境にあるのであれば。
A2Z (講談社文庫)

A2Z (講談社文庫)